「…ル…」 ん…なんだろう… 「スバ…」 声?誰かの… 「スバルーー!!!」 「え…?」 大きな声に目を開けると、そこにはティアの顔があった。 「ティア…」 「まったく…何してんのよ。こんなところで寝ちゃってさ。もう降参 なわけ?」 「どうして…ここに?」 私の質問には答えずにティアが手を差し伸べた。 「ほら、まだ立てるんでしょ?」 「無理だよ…もう、動けないんだもん…」 それは本当だ。もう、腕が上がらない。 起き上がることさえできない。 「ふぅ…」 ティアが差し伸べていた手を引いて、横に座る。 その表情はすごくやさしい表情だった。 「…わかった。もう動けないって言うのなら、何も言わない…だけど、みんなはまだ戦ってるわよ」 みんな…が… 「ボロボロになって、傷ついて、倒れて…それでも、立ち上がってる」 みんなが…戦ってる… 「あんたは、そこで寝たままで…良いの?」 でも…もう… 「大丈夫…あんたならできる。ほら…あんたの夢をかなえに…」 ティアがもう一度、手を差し伸べてくる。 私は、その手を握り締めた。 -------- 目を開けると、そこにティアの姿はなくて、ただ…空があった。 私の大好きな空。 炎の中から助け出してもらって、連れ出してもらった広い夜空。 冷たい風がやさしくて、抱きしめてくれる腕が温かくて… 助けてくれたあの人が…なのはさんが、強くて、やさしくて、かっこよくて 泣いてばかりで何もできない自分が情けなくて 私はあのとき、生まれて初めて…心から思ったんだ。 泣いているだけなのも、何もできないのも、もう嫌だって だから、強くなりたかった 苦しくて、悲しくて…助けて、って泣いてる人を助けてあげられるよ うに 強くなりたいって どんなにきつい状況でも、自分がやらなきゃいけないことがある…それだけで、私は…動き出せる。