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第3話 崩壊の始まりなの

シャーリーとティアナは、私達を気遣ってか、離れたベンチに座っているため、ベンチには、私とアリサの二人っきりだ。

この前、海鳴に来たときに比べて、アリサは少し大人っぽくなった気がした。だけど、話し方は…あんまり変わってないかな。

「だけど、フェイトたちも大変よねー。いろんなところを行ったり来たりなわけでしょ?」

「うん、まぁ。だけど、私に何かできることがあるならしたいから。大変じゃないよ。」

うん、うんと頷くアリサ。

どうしたのかな、なんかいつもと様子が違うけど。

「ところでね、フェイト。」

「ん?」

「あんた、彼氏できた?」

その言葉に、私は思わず飲んでいたジュースを詰まらせた。

「!?  ごほっ、ごほっ。いきなり、何言うの?」

「なのはもはやても、み〜んな、そういう話聞かないから…いったい、私の友達は、どういう青春をおくってるか心配になるわよ」

「青春って…」

「で、どうなの?」

「ど、どうって…」

ダメだ…きっと顔真っ赤だよ…。

「私は…別にいないよ。」

「ふーん。なら良いけど」

アリサは立ち上がって、腰に手を当てて、まるで命令するかのように

「彼氏ができたら、絶対に私に言いなさいよね。わかった?」

と言った。こういうところは昔と変わってないかな・・・と思う。

だから、私も昔のように笑顔で返した。

「うん。了解。」

「なら、良し。」

ふふっ…やっぱり変わってないな…ん?

「フェイト?」

「アリサ?私の傍から離れないで。」

どこだ?どこにいる?

「フェイトさん!」

異常に気づいたのか、シャーリーとティアナが走ってくる。

そのとき、私と彼女達の間に、粉塵が舞い上がった。

「きゃあ!」

「シャーリーさん!」

「シャーリー?ティアナ?」

くっ…分断された。

「絶対に、私の傍からは離れないで、アリサ」

「う、うん」

「バルディッシュ?準備は良いね?」

『yes,Sir』

「バルディッシュ…セットアップ!」

『set up』

…これで、ある程度のことには対処できる。

だけど、これ…AMF?しかも、かなり重い…。しかし、相手が結界を張ってくれているのは助かる。これで、思う存分…やれる。

真っ白な視界。その向こうにゆらめく影…。

「誰だ?」

「!?」

アリサが息を呑む。

白いローブをまとった人影がそこにはあった。

男…いや、女。

「時空管理局本局フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官です。これ以上の魔力およびそれに関連するものを使用した場合、公務執行妨害とみなし、あなたを逮捕します。」

人影は動かない。

「聞いているのか?」

「あなたは誰?」

「聞こえなかったのか?」

「あなたは誰?」

「くっ…」

「あなたは、存在してはいけない。」

「何を…」

「だって、そうでしょ…」

次の瞬間、風が吹いた。そして、その風が、一瞬、ローブの下の素顔をのぞかせた。

!?そ、そんな…バカな…

「フェイト?」

頭が痛い。頭が痛くて…割れそう。私は思わず、頭をかかえてその場に倒れこんだ。

そして、その隙に人影は、一気に私達との距離をつめた。

「アリサ、逃げて…」

それは痛みをこらえ、体の中のものを吐き出しそうになりながらつぶやいた言葉だった。

「IS発動 サンダーレイジ」

「うわぁぁぁぁぁ!」

体の中を電撃が駆け抜け、体の自由を奪っていく。

「フェイト!」

アリサ…だめ…

「ごめんね…あなたには、ちょっと眠ってもらう」

「ああぁぁ」

悲鳴を上げ、その場に倒れこむアリサ。

「アリ…サ…」

薄れていく意識の中、私は白いローブからのぞく顔を見ていた。

「シャーリーさん!大丈夫ですか?」

「こほっ…大丈夫。それよりフェイトさんを助けに!」

「はい、クロスミラージュ、セットアップ!」

『set up』

よし、これで…って、あれ?あの人影は…

「フェイトさん!」

「え?」

フェイトさんが何かを抱えて、こちらへ向かってくる。

ただ、それが何なのかは、ローブに包まれていてわからなかった。

「フェイトさん!」

叫びながら近づくと、フェイトさんが、私を制止するかのように手をかざす。

「邪魔…」

「え? きゃぁあああ」

その瞬間、私の中を電気が走りぬけた。

「ティアナ!」

フェイトさんの視線がシャーリーさんに向けられる。ダメだ…せめて…。

「フェイト…さん。どうして…」

「…言わなかった?」

「え?」

「邪魔」

「きゃぁぁぁあぁぁぁぁぁ」

聞こえてくるシャーリーさんの悲鳴。

その音を最後に、私は意識を失った。

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最終更新時間:2008年03月06日 18時56分16秒