トップ 差分 一覧 ソース 検索 ヘルプ PDF RSS ログイン

第21話 決着なの

ゆっくりと立ち上がって、周りを見渡す。

遠くでは、ギン姉が地面に倒れていて、それをセロが見下ろしていた。

早く…助けに行かないと…

「マッハキャリバー!」

『all right』

ウイングロードに乗って、二人のいる場所へと向かう。

「スバ…ル」

ギン姉がこっちに気づいた。

その声を合図にセロが右腕を振り上げる。

まずい…このままじゃ…間に合わない。

お願い、間に合って−

私たちの間には絶望的なまでの距離があった…セロの右腕がギン姉にむかって振り下ろされるには十分すぎた。

しかし、ギン姉に振り下ろされたはずの右腕はギン姉に届く前に鈍い音を奏でた。

「どーやら、間に合ったみてーだな」

「ノーヴェ!?」

セロの攻撃を受け止めていたのは、ノーヴェだった。

でも、なんで…いや、今はそれよりも…!

「てやぁぁぁ!」

セロに向かって右ストレートを振りかぶる。

それを察知し、セロが私たち3人から離れた。

全員の動きが止まり、私とセロが向き合う。

「ノーヴェ。何で、ここに?」

「頼まれたんだよ…」

「頼まれた?誰に?」

そう聞くと、ノーヴェは顔を真っ赤にして口ごもった。

「おや…ゲンヤのやつに…お前らを助けてやれ…って」

お父さんが…?そっか。私たちのこと心配してくれたんだ。

「でも、ごめん、ノーヴェ」

「あ?」

「セロは、私が倒す…倒さなくちゃいけないの」

「ああ!? どういうことだよ、そりゃ?」

「ごめん、ノーヴェはギン姉をお願い」

じっとノーヴェの目を見つめる。

やがて、ノーヴェが呆れたようにため息をついた。

「今回だけだかんな…」

「ん…ありがと」

一息ついて、セロの方を向く。

お母さんと同じ顔…

お母さんと同じ声…

それでも、この人は…セロはお母さんじゃない。

私の名前を呼んでくれた

私を抱きしめてくれた

お母さんはもういない。

私が今、すべきことは感傷に浸ることじゃなくて、この人を…セロを止めること。

どんな手を使っても。とめなきゃいけないんだ。

「スバル…?」

これだけは使いたくなかった。

でも、今の私はこれしかこの人を止める方法を知らない

「フルドライブ!」

『Ignition』

「ギア・エクセリオン!!」

『A.C.S stand by』

セロと向かい合う。

あの時と同じ、ギン姉と戦ったあの時と…だけど、あの時とは違うんだ。

「うぉぉぉぉぉぉ!!!」

セロへ向かって一直線に走る。セロも同様にこっちにまっすぐ向かってきた。

小細工はいらない。

この右拳で決める。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!IS発動!振動拳!!」

振動破砕…私のIS。

戦闘機人としての私の能力。

互いに距離をつめ、己の右拳を振りかぶる。

次の瞬間、鈍い音を立てて、セロの左拳と私の右拳がぶつかり、セロの左拳が粉々に砕けた。

それを信じられないといった表情でセロは見つめる。

その瞬間、隙ができた。

もう一度右拳を振りかぶる。

それに反応するかのように、セロがバリアを展開した…が、私はそれを左手で無理やりこじ開け、道を作った。

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」

ありったけの力を右拳に込めてセロの鳩尾に叩きつける。

…え?

笑っ…た…

「…」

そのとき、セロに言われた言葉を私は忘れることが、未だにできないでいる。

ここはフッターです.全てのページの最後に表示されます.

編集するには,をクリックしてください.

最終更新時間:2008年05月20日 22時29分50秒