第20話 空の色なの
「…ル…」
ん…なんだろう…
「スバ…」
声?誰かの…
「スバルーー!!!」
「え…?」
大きな声に目を開けると、そこにはティアの顔があった。
「ティア…」
「まったく…何してんのよ。こんなところで寝ちゃってさ。もう降参なわけ?」
「どうして…ここに?」
私の質問には答えずにティアが手を差し伸べた。
「ほら、まだ立てるんでしょ?」
「無理だよ…もう、動けないんだもん…」
それは本当だ。もう、腕が上がらない。
起き上がることさえできない。
「ふぅ…」
ティアが差し伸べていた手を引いて、横に座る。
その表情はすごくやさしい表情だった。
「…わかった。もう動けないって言うのなら、何も言わない…だけど、みんなはまだ戦ってるわよ」
みんな…が…
「ボロボロになって、傷ついて、倒れて…それでも、立ち上がってる」
みんなが…戦ってる…
「あんたは、そこで寝たままで…良いの?」
でも…もう…
「大丈夫…あんたならできる。ほら…あんたの夢をかなえに…」
ティアがもう一度、手を差し伸べてくる。
私は、その手を握り締めた。
--------
目を開けると、そこにティアの姿はなくて、ただ…空があった。
私の大好きな空。
炎の中から助け出してもらって、連れ出してもらった広い夜空。
冷たい風がやさしくて、抱きしめてくれる腕が温かくて…
助けてくれたあの人が…なのはさんが、強くて、やさしくて、かっこよくて
泣いてばかりで何もできない自分が情けなくて
私はあのとき、生まれて初めて…心から思ったんだ。
泣いているだけなのも、何もできないのも、もう嫌だって
だから、強くなりたかった
苦しくて、悲しくて…助けて、って泣いてる人を助けてあげられるように
強くなりたいって
どんなにきつい状況でも、自分がやらなきゃいけないことがある…それだけで、私は…動き出せる。
ここはフッターです.全てのページの最後に表示されます.
編集するには,をクリックしてください.
最終更新時間:2010年02月21日 23時40分12秒