「ふっ!」 「かはっ…」 もう何度目かの拳をお腹に受けて、思わずかがみこむ… 「スバル!?くっ…はぁぁぁ!」 ギン姉が距離をつめ、リボルバーナックルで殴りかかる…が 「きゃっ!」 攻撃はよけられ、逆にお母さんの放った蹴りによって、ギン姉は吹っ飛ばされた。 「く…はぁ…お母さん…」 私の呼びかけにも、お母さんの表情は変わらない…そうだ… お母さんは…もう… 脳裏に浮かぶ記憶。 任務中におきた《事故》によって、命を落としたお母さん 私とギン姉は、冷たくなったお母さんを私は確かに送り出した だから、この人は、お母さんじゃ…ない…? 「セロ…」 「え?」 「それが、私の名だ…さようなら、スバル…」 『スバル』 …お母さん… 違う…でも…この声… 『スバル。ほら、泣かないの』 『スバル。ご飯だよ』 『スバル。大好きよ』 『スバル。』 『スバル』 『スバ…』 「スバル!!」 ギン姉の声で我に戻り、上から振り下ろされるセロの拳をよけた。 その拳が地面を砕き、大地を割る。 よけるのがもう少し遅れていたら、あるいは… セロと十分に距離をとり、構えを取る。 ギン姉が教えてくれた、お母さんのシューティングアーツ。 「ギン姉!」 「いくわよ、スバル!」 「ウイング…ロード!」 二人同時にウイングロードにのって、さらにセロとの距離をとる。 「…ウイングロード」 セロの足元に光る緑の光。 その光に乗って、セロがギン姉へと向かっていく。 「ふっ!」 ギン姉の攻撃は左ストレート。それと同時に右手でバリアを展開し て、攻撃を防ぎにかかる。 これで、おそらく足が止まる。 私は、ギン姉の援護を… セロはギン姉の左ストレートを完全に見切っているかのように受け流し、そのまま反転、ギン姉の後頭部に左の裏拳を打ち込んだ。 「ギン姉!」 「…」 裏拳の勢いでかなり飛ばされたけど…ギン姉はしっかりとバリアで防 御していた。 ギン姉は大丈夫だ…今度は私の番。 勢いをつけてセロへと向かう。 右ストレートで足を止めて、ディバインバスターで決着をつける。 「はぁぁぁぁ!」 セロも私に答えるように右拳をぶつけてくる。 鈍い音が同時に鳴り響く。 互いの拳をバリアが止めている。 「く…うぉぉぉぉぉぉぉ!」 バリアをこじ開けにかかる…が 『wing road』 「がっ…」 何が起こったのか、一瞬わからなかったけど、目の前にあるウイングロードとセロの足を見て、瞬時に理解した。 ウイングロードを発射台にして、左足で私のあごを蹴り飛ばしたんだ…あぶない、意識がとび… ‐‐‐ 『chain bind』 バインドの網をアリシアさんが潜り抜け、バルディッシュを構える。 「フルドライブ、ライオットブレード」 『riot blade&sonic move』 フェイトちゃんの得意な高速移動…アリシアさんはそれを使いこなしている。こんなに速くちゃ…こっちからは捕まえられない。 なんとかバルディッシュのライオットブレードを受け止めるが、その重い衝撃に私のバリアが軋む。 もとより、中距離砲撃型の私と近接戦闘型のアリシアさんでは分が悪すぎる。 だけど、このまま負けるわけにはいかない! 「ブラスター1!」 『blaster set』 魔力を開放する。 まだだ…これじゃあ、足りない。 「続けていくよ! ブラスター2!!」 『blaster second』 アリシアさんが、何かを感じ取ったのか、私と距離をとる。 でも、もう遅い! 「ブラスタービット!バインド!!」 ブラスタービットがアリシアさんを捕らえる。 今しかない。 レイジングハートをアリシアさんに向けて構える。この程度の砲撃じゃ、魔力ダメージでのノックダウンはきっと無理。 砲撃による物理的ダメージで昏倒させる! 「ディバイーン…バスター!」 アリシアさんに向かって放った砲撃は空気を切り裂く音を立て、アリシアさんへと向かうが… 「オーバードライブ…真ソニックフォーム」 それは虚しく空気だけを切り裂いていく。 「避けられた!?」 「これで終わり」 その声がしたのは背後。 振り向いた瞬間、ライオットブレードが右肩に振り下ろされ…私は、 地面に叩きつけられた。