『なのはさん、緊急事態です!』 「シャーリー?まだ入院してたんじゃないの!?」 緊急通信のチャンネルが開き、シャーリーの顔が映る。 『こんなときにゆっくりしてられなくて、退院してきちゃいました。今の私にできることはこれくらいしかないですから。それよりも、海鳴市に時空転移反応。その場所からそれぞれが、バラバラに3つの門の場所に向かってます』 予定よりも相手が動くのが早い。それにバラバラにそれぞれの門まで向かっている。 だけど、こんなときのために隊を分けた。 ただ、私が向かうのは… 「おめーは、自分に家に行けよ」 「ヴィータちゃん?」 「おめーは、おめーの居場所を守れ。他はあたし達が、片付けといてやるからよ」 私の…居場所… 「うん…わかった。それじゃあ、A分隊は第一の門、海鳴海浜公園。 B分隊は第二の門、八束神社の裏山へむかってください。各自、臨機応変に…気をつけて」 「「「「「「「了解」」」」」」」 ‐‐‐ A分隊 「ちょ、ちょっと、待ってください。シグナムさん」 後ろの方から、エリオの声がする。振り向くと、二人が乗るフリード との距離は100mほどになっていた。 少し、急ぎすぎたか…。 二人を待ってから、フリードに並行して飛ぶ。 「すまないな…つい、焦ってしまったな」 「いえ…そんなこと…ついていけない私達が悪いんですから」 「そうですよ」 緊急事態だ。一分一秒でも早く現場には行きたい。それでも、この二人をおいての独断専行は隊をなす意味を否定するようなものだ。 ん…あれは… 『シグナム副隊長!』 「ルキノか?やはり、あれは…」 『はい、航空型のガジェットが100体ほどそちらに向かって進行中です。エンカウントまで1分です。また、それとほぼ同数がB分隊にも向かっています。』 『シグナムか?』 「ヴィータか。お前のところにも来ているそうだな」 『ああ…それにしても、この量、どう思う?』 「足止め…と考えるのが無難だな」 『だな。どーする?』 「…」 まとめて、この場で叩くか…いや、それよりは… 「ここは、私が引き受け、エリオとキャロを先行させる。そちらはどうする?」 『こっちも、あたし一人でなんとかする…シグナム』 「なんだ?」 『無茶すんなよ』 「ふっ、お前もな」 ヴィータとの通信をきり、エリオとキャロの方を見る。 「聞いたとおりだ。お前達二人を先行させる」 「でも、シグナムさん一人じゃ…」 「わかりました」 私を止めようとするするキャロの言葉をさえぎるように、エリオが言葉を発した。 「でも、シグナムさん。一つだけいいですか?」 「なんだ?」 「…困ったときは、必ず僕達が助けに来ます。だから、そのときは僕達の名前を呼んでください」 … 思わず口元が緩む。 まったく、子供というものは、いつのまにか成長していくものだな… ならば、なおのこと、私も立ち止まっていられない。 「わかった。早く行け」 「「はい!」」 …守るものばかりが増えたと思ったら、私も守られているのだな… 二人の姿が遠ざかっていく。 「それでも、今回は私が守る番だ。レヴァンティン!」 『シュランゲフォルム』 「紫電…一閃!たぁぁぁぁぁぁ!」