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第10話 それはとても怖い兵器なの

自室に荷物を置いて、ベッドに寝転びながら物思いにふける。あの頃と違うのは、二段ベッドの下に誰もいないこと…

「ティア…」

ティアが復帰するまでには、一週間ほどかかるらしく、それまではこの部屋には私しかいない。

「こんなに静かだったんだ…」

突然の警告音が部屋の中に鳴る。緊急招集…?でも、こんな時間に会議室への緊急招集?いったい、なんだろう…

『ほら、早くしなさい!あんたが遅れたら、私まで怒られるんだからね!』

頭の中で響く声に、自然とその持ち主の姿を探した。だけど、やっぱり、そこにはいない。行ってくるね…ティア。

ベッドから降りて、ドアを開ける。

隊舎内の通路を歩き、会議室へと向かう。

「スバル!」

あれ?この声…

振り向いた先には、私の姉、ギンガ・ナカジマの姿があった。

「ギン姉!?どうしてここに?」

「今回の事件のために、うちの部隊から派遣されたの。あと、この一ヶ月間、うちの部隊は機動六課の直轄となってるから、そのうち、お父さんと会うこともあるんじゃないかな?まぁ、立ち話もなんだから歩きながら話そうか」

「うん。でも、ギン姉がいるのには驚いたよー」

「ふふ…スバルを驚かそうと思って、内緒にしてた…わけじゃなくて、私の派遣が決まったのが、ほんの2時間くらい前だからね。知らないのも無理ないよ。ちなみに私はスターズ8よ」

「そうなんだ…」

「ところでスバル。ついさっきかかった招集についてなんだけど、何か知ってる?」

「ううん、全然。ギン姉は?」

「私も心当たりはないわ。あ、ここね」

目の前のドアのロックを解除すると、部屋の中には既に他の前線部隊部隊員とはやて部隊長の姿があった。空いている椅子に座り、はやて部隊長の方を見る。はやて部隊長は、どこか厳しそうな表情で目を閉じ、何かを考えていた。そして、何かを決めたようにゆっくりと目を開けた。

「これで、全員やね。さっそくやけど、これから見せる映像は、今から1時間前に時空管理局本局へと送られてきた映像や。みんな、心して見て欲しい」

センターモニターに映し出された映像。そこには、あのスカリエッティの姿が映っていた。

『やぁ、元気にしているかな?親愛なる時空管理局の諸君。私は再び、自由を得た。そして、これから私は己の欲望を満たすべく、彼の地に向かう。失われし都、アルハザード!それは、既にそこに存在していたのだよ。彼の地で、私は更に大きな力…究極の力を得る。それをただ絶望の淵でみていると良い。私はそこに向かい最後の扉を開ける。人類、いや…全てのものを全て無にかえす力、レイを発動させる。私たちを止めたければ、止めれば良い。諸君の健闘を祈るよ』プツン、という音がして、モニターの画面が消える。スカリエッティのあの不気味な態度。それに、気になるあの言葉…

「レイ…」

「そう、今回問題になっているのは、そのレイと呼ばれるものの存在」

私の呟きに返事を返してくれたのは、なのはさんだった。

「レイって、一体なんなんですか?」

「…スバルは、アルハザードって知ってる?」

「あ、はい。少し聞いたことがあります。今の文明の技術で作れないものが大量生産できるような高度な文明だって…たしか、レリックもその文明の名残なんですよね?」

「そう。フェイトちゃんのお母さんのプレシア・テスタロッサが目指してた、死者すらも蘇らせる世界。それが、アルハザード。レイについては、文献として残されているものがあるらしくてね…詳しい説明を、ユーノ君、お願い」

『了解』

さっきまでスカリエッティが映っていたモニターに、見たことのある顔が映っていた。あ…たしか、この人…

『無限書庫の司書長、ユーノ・スクライアです。さっそくですけど、レイに関しては文献の量も少なく、その内容も多少異なります。しかし、その中でも、共通の事柄があります。一つは、レイとは万物を消し去り、全てを無に返す魔法であるということ。二つ目は、レイを発動するには、アルハザードの特定の三ヶ所に、高い魔力値を持つ人間…現代の基準で言うところのオーバーSランク程度の能力を持つ魔導師を三人、それぞれの門で生贄として魔力をささげること。三つ目は、発動したが最後。全てを無に帰すまで、それは発動を止めない。以上です』

「…」

全てを無に帰す魔法。そんなものが存在するなんて…

「生贄になった人はどうなるの?」

『生贄になった人はレイの一部になってしまうから…魔力ごと存在自体が消滅すると考えられる』

そんな…

「それでも、止める方法はある…そうやろ?ユーノ君」

『勿論。発動を止める方法は、当然ながら生贄を捧げさせないことだ。生贄をささげるためには、その場所で、魔力を使って故意に爆発をおこし、ある程度の大きさの穴を作らなければならない。その穴は、レイに繋がるための『門』と呼ばれている。最初に、一箇所目の爆発を行い、第一の門を作る。そして、その3日後に、第2の門、さらにその3日後に第3の門を開く。それがレイを発動するための正式な儀式とされている』

「なんで、3日後なん?」

『門が安定するまでの時間と言われているけど、詳細は不明。だけど、時間をおかずにレイを発動もしくは、新たな門を作った場合には、発動はおろか、周りの地盤が崩れて門は消滅。永遠に発動はできない。だけど、その場合…半径1000kmはレイの魔方陣を構成する魔力の暴走によって消滅。塵一つ残らないだろうね』

「そんな…」

『相手も、それは避けたいところだろう。彼らは、十分に時間を置き、門を作り…そして、その穴を覆いつくすほどの、魔力を持った生贄を捧げることで、儀式は進行する。もし、僕達が門を作らせなければ…』

「生贄をささげることはできなくなる…」

『そういうこと。ただ、これには、問題が一つある』

「問題?」

『この門はアルハザードもしくはアルハザードへつながる場所に作られる。でも、僕達はそれらを知らない。こればっかりはお手上げだ…』

「確かに…」

全員がうなだれる。そんな…ここまでわかってるのに、何もできないなんて…

「うなだれていても、しょうがあらへん。とりあえずは、解散や。それぞれ、部屋で待機」

待機…あ、そういえば…

「八神部隊長」

「ん?どうした、スバル?」

「私、ティアのお見舞いに行ってきても良いですか?今日、検査だったと思うので、その結果とか…」

「そやな。行っといで。ただし、連絡はつくようにな」

「了解です」

「それじゃあ、スバル。私も行くよ」

「なのはさんもですか?」

「うん。忙しくて、ティアナのお見舞いに行けてなかったし。いろいろと聞きたいこともあるしね」

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最終更新時間:2010年02月21日 23時21分45秒